鉄の構造物が好きだ。リベットがビシビシ打ってあったり、溶接跡がモリッとしてるとさらに良い。これでトラス構造だったりするともうたまらない。
そんなわけで当然のように最近の大物物件であるところの東京ゲートブリッジに関する情報はキチンとチェックしていて2月27日の中央橋桁が繋がったニュースに興奮したりしてたんですが、人がウジャウジャで気が散る状態で見たくないなと思っているうちに震災があったりして、GWになってようやく時間と気分に余裕が出来ていい感じになり、自転車でダラダラと行ってまいりました。
ルートは文京区湯島より若洲海浜公園の東京ゲートブリッジが見える防波堤の端っこ辺りまで。ただ行ってもツマらないので、ついでに途中に橋を何本越えるか数えてみようかと。
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当日出発前に空を見ると思いっきり曇天。というか暗いし、空気は湿っぽい。どうにかなんだろと毎度のイージーモードで自転車にまたがり湯島を出発。時間は大体午前11時くらいだったかな。
まずは昌平橋通りを南下。走り始めると風が冷たい。というか寒い。が、戻るの面倒だっつーの。まぁいいやと、かまわず走り続けるとすぐに昌平橋とそれを挟む総武線・中央線のガードが見えてくる。
いきなりの鉄のカタマリ出現でたまらんわけですが、くぐる鉄橋も引っかかってると何時になっても着かないので、また別の機会に取り上げてやんよとパスして昌平橋へ。
それにしても都市部の橋って回りこむスペースが無くて横から写真撮りづらいのね。じっくりとアングル探ってる時間もないのでさっくりと適当な感じでパシャりと。なお回りこめない問題にはこの後も苦しむことに。
歌川広重の浮世絵にも描かれた昌平橋は犬公方の徳川綱吉が近くの湯島聖堂を建設した際、孔子の地元である魯国の昌平郷因んで名づけたそうで。現在の昌平橋は1928年に架け替えられたもので、万世橋方向から良く見えるってことで手入れも頻繁なのか側面のレンガ、欄干共に結構綺麗。それにしても、昌平橋から御茶ノ水の方を見上げる景色ってのは東京の橋からの景色の中でも一級のもんだと毎度思う。
とっとと行こうと中央線ガードを越えてるとすぐに信号に止められたので、なんとなく振り返って鉄橋を見るとなにかプレートが付いている。とりあえず写真撮っておいて帰ってからみたんだけど、これブラタモリでやってたドイツのハーコート製ってやつだね。1904ってのも読める。かつてあった昌平橋駅の設置時期(1908)考えると、まぁそんなもんだね。やっぱりこの辺はこの辺で今度じっくりやろう。
さて、橋を越えてから外堀通りと名前が変わる。淡路町から外堀通りの流れを無視して大手町方面へ進んでいくと途中にあるのが鎌倉橋(1929年製)。首都高下でなんか薄暗い。写真と撮ろうと横に回りこむとさらに暗い。昌平橋と違い見ることに気を使う必要が無いってことからか、大丈夫かっていうくらいボロイ。通行量多いけど、この先耐震的にイケるんだろうか。
疑念を抱きつつ自転車に乗り大手町駅前を左折。永代通りに入り、JRのガードをくぐり呉服橋交差点を曲がってまた外堀通りへ。そして東京駅八重洲中央口前を曲がって八重洲通りに入るとしばらくは道なり。コロ助なり。
しばらくすると首都高宝町ランプ入り口があり、この上が橋になってます。下は高速なんで横に回り込めず名前だけパシャりと。
この久安橋(1930年製)は元は楓川という堀に架かっていたけど、楓川は1960年に埋め立てられ首都高となったために陸橋になっちまったということらしい。ここで寒さで冷えたのか脇にあるトイレを借りたけど、奥まった感じが夜はちょっと入れないといった風情。
ちょいとすっきりしたところで、漕ぎ足も軽やかにぐんぐんと進み、八丁堀に入って亀島橋(2002製)。
この橋、芭蕉の句碑があったり、堀部安兵衛武庸の碑があったりと、1699年(元禄12年)頃にはすでに橋があったとの記録が残る結構歴史のある橋。討ち入り後にも浪士達が通ったとか。欄干等に亀甲が組み込まれたデザインになってます。この橋は回りこんで全景が撮れた。駐車場に入り込んでなんで完全に怪しい人だったけど。
亀島橋を越えるとすぐに隅田川に架かる中央大橋(1993年製)の主塔が見えてくる。フランスのデザイン会社が日本の兜をイメージして作ったってやつですね。そうかぁっていうか。
この橋、最近だと羽海野チカ 『3月のライオン』で主人公の桐山零が少年漫画的モノローグと共に渡っていている場面を思い出す人も多いかと。渡る左側に東京スカイタワーが見える。この辺りからさらに空が暗くなってくる。しかし、中央大橋ってなんかいかにも木っ端役人が付けた様な名前だな。その橋がかつての人足寄場とをつないでおります。
渡ってすぐに右に曲がり、隅田川沿いを佃の街へ向かうと途中に歩道橋のような住吉小橋がある。横にはやはり『3月のライオン』に登場する水門。池波正太郎が書いていた、佃の渡しがあったのはもうちょっと先の辺りで碑が立っている。風情が無いって書かれてた佃大橋も写真横っちょに見えるね。
渡るとすぐに佃の要である住吉神社の鳥居横を通って佃の街に入る。老舗佃煮屋が並ぶ通り途中で曲がり、街の中央の朱塗りの欄干がとても目立つ佃小橋へ。橋下を流れる佃堀は時期になるとハゼを釣る人が結構いるよね。この橋も『3月のライオン』に結構登場。この辺りから曇天からの気分的なものと立て続けの橋の多さで若干疲れてきた。目的地があるならとっとと行きたいっていう性格にこのやり方合わんのかな。
橋があったという初見橋交差点を通って月島もんじゃ通りへ。ちょうど昼に近い時間帯だったので、並ぶ店を見て何か食いたくなるが、店に入ったら間違いなく食って飲んでそのまま帰宅だなと流石にその辺は押さえたよ。あぁ。
店が並ぶ辺りを抜けると、坂をちょっと上がるような感じで西仲橋(1956年製)がある。太鼓橋のように橋の部分が高くなっていて月島が低い土地なんだなってのがよく分かるわけだ。しかし、この違法係留避けと思われるまっ黄色の柵はどうにかならんのかね。
橋を渡ってすぐに晴海通りを有明方面へ向かう。勝どき橋駅前を過ぎてすぐに朝潮運河に架かる黎明橋。埋立地ってこともあり、歴史の浅いイカにも既製品といった感じの橋が多くなって作り的には全く面白くない。横にトリトンスクエアへのトリトンブリッジが並んでいる。しかし、トリトンなんとかって日本には合わんネーミングだよなぁ。
晴海っつってもすぐに地面は終了して晴海大橋(2006年)。この橋かなり勾配があって結構キツイ。登りきったところの景色、特に夜景なんかは気に入っている場所だったりするんだけど、ひどい曇天のうえに海からの風が強く石川さゆりの歌が似合いそうな津軽海峡冬景色な感じになっていてさらに心折られる。寒いし。あー帰りたい。
とか行っても橋下っちゃうともう戻るのも面倒なので、しぶる身体を無理に前に進める。いろいろとややこしい問題になっている豊洲新市場予定地を横手に見ながら進むとまたすぐに有明北橋に(2006年)。新しい橋ってつまんないよね。渡ってる途中に下の東雲運河でブワブワとジェットスキーがうるさくて、これ近くのマンションの人達とかどうなんだろうとか、自分が辛くなってきたので他人事の問題提起をしてやり過ごす。
有明に入り、ちょっと走った後に湾岸道路、りんかい線に並ぶように左折。後で考えるとこれが失敗だった。完全に車のための道路でその横を自転車で走っても全く楽しくなくてさらに気分がブルーに。新辰巳橋、曙橋と渡りましたが特に面白みもなく割愛。途中上を走っていた京葉線の立体交差っぷりだけが癒し。どういう癒しだ。
我慢して漕ぎ続け、夢の島東少年野球場の辺りで最後の右折。わーいとか思ってたらイキナリ歩道が凸凹でガッタンガッタンと走りづらい。マンホールが冴羽僚ばりにもっこりとなっており、封鎖されている駐車場を見ると液状化で砂が噴出した後があったり、一部コンクリート壁が斜めになってるところも。新木場の辺りも結構地震の被害が出ていたことを知る。
輸送基地になっている関係か妙にコンビニが多いので、ちょっとあたたかいコーヒーでもとコンビニに入ると面白いことに釣り道具・釣りえさが売っている。そんなに海浜公園で釣りする人多いのか。
ゴールも近いってことで気分も持ち直し、コーヒーで身体も温まったんで東京へリポートから聞こえるヘリ音にノッてグングンと漕ぐ。ここで最後の橋である若洲橋(2009年)が。風車の向こうにゲートブリッジに伸びる道路も見えるぞー。
それはともかく、橋の下ゴミだらけ。若洲海浜公園にBBQ来てるやつらが捨ててるんじゃないのかとちょっと疑ったり。ゴミの埋立地から流れてきたのかもしれんけど。
若洲に渡って進んでいくと、風車が凄い威圧感があってちょっとびっくり。さらに近づくとヒュンヒュンと低音が聞こえてきて、さらになんか羽の動きが結構目障り。うーん、これ近くにあったらキビシイな。
海浜公園に入りサイクリングコースを通って海釣り施設の方へ。GWってこともあり公園はBBQをしにきた家族がいっぱい。そんな公園の脇の道は木がそれなりに生い茂っていて周りの景色が分からない。が、しばらく走っていると木々の間からガーンと橋が見えてくる。
到着~!いやーいいねゲートブリッジ。あいにく曇りだけど悪くないと、さっきの気分はどこへやら。
近くで見ると恐竜橋って言われるのもなんとなく分かるね。下に船を通さなきゃだけど、羽田空港に近い関係であまり高くも出来ずってことでこういう特徴的なカタチになったそう。震災の影響で下の方に行ける防波堤が閉鎖になってまして、下の方まで行けないのはちと残念でしたが、満足。えーと、結局橋は全部で14本か。結構時間かかったかなぁと思ったけど、湯島から若洲まで2時間半程度で着いちゃいました。写真撮らなかったらもっと早かっただろうね。
この時間なら朝ちょっと早めに出てハイキング的に行くのもいいかも。ルートも最短ではなく通行量の多い道を避けていくともっと楽しめるだろうし。
というわけで、当然車でも行けるんでトラス構造好き(いるのか?)の方は若洲に来てぜひ間近で。