ボストンといえば中学時代バスケをやってた自分にとってはセルティックスの印象が強かった。
ラリー・バードを筆頭に当時でも少数派の白人中心のチームで、イコール保守的な土地柄なんだろうなと思っていた。
その後、村上春樹のエッセイを読んでみるとニューヨークやロスとかより住みやすいんだろうなという印象を持ち続けていた。
ところが近年、イーストウッドの『ミスティック・リバー』を皮切りに、
スコセッシの『ディパーテッド』ベン・アフレックの『ゴーン・ベイビー・ゴーン』と立て続けに作られたボストンを舞台にした犯罪映画を見たら、
こんな街住みたくないなあ、とすっかり真逆の印象を持つようになってしまった。
さて監督一作目で巨匠にも引けを取らない映画を撮り上げたベン・アフレックの
第二作目『ザ・タウン』も再びボストンが舞台であるが、
銀行強盗や輸送車襲撃が起こりまくる相変わらず殺伐とした住みたくない街ナンバーワンぶりである。
ベン・アフレック監督は前作同様素晴らしく魅力的なキャストをよくまとめ上げている。
とくに相棒のジェレミー・レナーのDQNぶりと、出番は少ないが父親役のクリス・クーパーも素晴らしいし、
ピート・ポスルウェイト、『インセプション』じゃ寝た切りだったが、ここでは裏の顔役として凄みのある演技を見せ、
これが最期なら満足である(実際は後もう一作品あるそうです)。
こんな作品の弱点を挙げるなら主役のベン・アフレックが弱いかなあ、
と今まで誉めてなんですが、上記以外でも脇役陣が強力なので、彼自身も悪くないのですが、
ここは監督に徹してもらってもっと強力な主役が欲しかったかな、という印象です。
最後に「レッドソックスの金泥棒、ジャック・クラーク以来だ。」というセリフがありましたが、
二十年後くらいに作られる映画で「レッドソックスの金泥棒、松坂大輔以来だ。」
というセリフが出ないよう今から祈っておきます。