上野・御徒町 純喫茶「丘」 カフェブックマーク

アメ横の喧騒っぷりは相変わらずなんだけど、どうもその喧騒をよく聞いてみると日本語じゃなかったりするわけで、店も元々多かった朝鮮系の店に加えて中華系(どっちかいうと旧満州系が多い)が増えてきたような気がする。そんな入れ替えは有りつつも闇市っぷりの抜けないアメ横を冷やかして、軍装品払い下げの老舗店中田商店の横のガード下をくぐると、今回紹介する純喫茶「丘」がある。

うらぶれた感じの雑居ビルに取り付けてある看板含め、昭和臭が半端ない外観。レトロなフォントがまたイイ味を出している。それもそのはず、店がオープンしたのは東京オリンピックがあった1964年(昭和39年)。高度成長期真っ盛りの頃だね。
純喫茶「丘」外観
名前は「丘」なんだけど、何故か店は地下にある。どうもかつて本店が御茶ノ水にあり、台地上(駿河台)ということで「丘」という名前が付けられていたその店から暖簾分けして出来たのがこのお店だそうで。因みに本店はすでに廃業。
純喫茶「丘」・階段
前回も地下に下る店だったけど、今回の店も階段を下って行くにつれて気分が「昭和」にセッティングされていく。こういう店は如何に外の喧騒とは違うゆっくりとした時間を提供できるかが勝負なんだろうと思う。そう考えるとチェーン系はその点で落第なんだよなぁ。
純喫茶「丘」・シャンデリア
店内は昭和モダンを基礎にした南欧ゴージャス風といった感じ。なんでこれで落ち着けるのかってのはちょっと今後考察してみる必要があるような気がする。そういえば、三島由紀夫の家も南欧ゴージャスっぽかったな。
純喫茶「丘」・ソファ
今回はちょっと騒がしい地下一階は避けて、地下二階に。下って行ったら真っ暗だったんでびっくりした。節電中らしい。店員さんが電気を付けてくれた。他に人がいないんでゆっくり写真も撮れて良かったけど。
純喫茶「丘」・クリームソーダとチーズケーキ
ムシムシした日だったんで、クリームソーダを注文。ついでにチーズケーキ。クリームソーダって子供の頃は飲み物の王だった。喫茶店ってそういう「ハレ」の場でもあったんだよね。上野に純喫茶が結構残っているのは、上野は地方から出てきた人間の「ハレ」の場で、そういう店が多かったということなんだろう。
純喫茶「丘」・柱装飾
何故「純喫茶」って言うのってのは、昔の「喫茶店」「カフェ」は酒も出して女性が接客する、現在のクラブやバー、スナックのような形態のものも含まれていたんで、それと区別するために付けられた名称だったりする。戦後しばらく、昭和33年に売春禁止法が成立するまで「特殊喫茶店」という名称でそういう店の営業が許可されていた時期もあったりして、「純喫茶」ってのはそういう店とは違うよってのをはっきり言っておかないと面倒くさい事情もあったというわけ。
純喫茶「丘」・看板
この純喫茶「丘」はそういう歴史も背負った場所として、「純喫茶ってなに?」って聞かれたらこの店を紹介すればいい名店なんだろうな、と思う。

純喫茶「丘」
東京都台東区上野6-5-4 尾中ビル B1・B2
電話:03-3835-4401
基本無休
営業時間:8:30~21:00
※下のグーグルマップ、マーカーの位置が若干ズレています。

東京都台東区上野6丁目5−3

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